17. 不織布フィルターの仕組み

マスクには従来から、空気中の「ちり」や「ほこり」を捕集するため、不織布からなるフィルターが使用されており、フィルターを構成する繊維の直径を小さくすれば、より小さなちり・ほこりを捕捉し除去できるため、捕集効率を高めることができます。
しかし、捕集効率を向上させるために繊維の直径を小さくすればするほど、圧力損失(※1)が高くなり、通気性が悪くなるという問題がありました。また、不織布で出来たフィルターは、ちりやほこりの捕集が進行するとともに、フィルターの隙間に捕集したものが保持されて目詰まりが起こり、圧力損失が上昇していくことが知られております。
 
この問題を解決する方法として、不織布フィルターを帯電加工する技術が取り入れられました。
帯電することで、物理的な捕集作用によるちり・ほこりの捕集に加えて、静電気的な捕集作用を利用することにより、捕集効率の向上、初期の圧力損失の低減、圧力損失の上昇の抑制を図ることが出来ます。
つまり、静電気のちからで粒子をキャッチできるようになったため、繊維の直径を小さくしなくても捕集効率を維持したまま、通気性が改善されたマスクフィルターが開発されたということです。
こうしたフィルターを採用しているマスクは、捕集効率が高く通気性の良いマスクとなります。
 
※1…流体が配管などを通る際に失うエネルギーのこと。マスクの呼吸のしやすさの指標となる。
一般財団法人カケンテストセンター    マスクの圧力損失試験 より一部抜粋
 
引用:Google Patents WO2011138951A1 帯電フィルタ及びマスク

2020.01.16