16. 飛沫感染と空気感染の違いを教えてください。

まず飛沫(ひまつ)感染の「飛沫」は、“しぶき”とも読み、咳、くしゃみ、会話によって飛散する唾液を指しています。医学的には、「水分を含んだ直径5マイクロメートル以上の粒子」であり、目に見えるほどの唾液であれば重さですぐに落下しますが、小さくなればなるほど空中を漂い、別のヒトが吸い込む確率が高くなります。
主にインフルエンザやおたふく風邪といった病気の感染経路です。
 
飛沫が乾燥して小さくなったり、もともと5マイクロメートル以下の粒子を「飛沫核」と呼びます。飛沫感染する病原体は、大きければ落下し、小さければすぐに乾燥して感染リスクが低減します。ところが、麻しんウイルス、結核菌、水痘(すいとう)ウイルスは、飛沫核となっても感染性を失わず、飛沫核は軽いために空気中を漂い、広範囲に感染を拡げます。
これが空気感染の一つです。
 
飛沫感染と空気感染では感染範囲にも違いがあります。
飛沫感染の感染範囲は、飛沫が飛ぶ1~2メートルと言われています。くしゃみのように勢いよく飛び出た場合には10メートルを越す場合もあります。
空気感染の感染範囲は、かなりの距離をおいても感染します。もし誰か1人が結核だとすると、同じ部屋の中の方々は一斉に結核の検診をやらないと危険といわれています。
 
【飛沫感染や空気感染への対策としてマスクの着用】が挙げられます。外部からのウイルスを完全に防ぐことは難しいですが、マスクをすることでウイルスを含んだ水分の「飛沫」が飛ぶことを抑えます。感染した本人がマスクをして飛沫を出さないことは、周囲の人たちへの感染対策として十分に効果的です。
 
参考:
・外務省 海外安全ホームページ「第1回重症急性呼吸器症候群(SARS)に関する講演会の概要」
・朝日新聞デジタル「飛沫感染、マスクの予防効果は?」
 
引用:医療情報館 ドクターズプラザ「微生物・感染症講座(55)」

2019.11.08